北八ツは冬に登る山だとこだわりを持っているものの、この時季の路程に腰が引けてなかなか実行できなかったが、2月末で切れる平日宿泊半額券を目の前にして、チャンスは今だ!と、思い切って立科を目指した。

 2月29日 富山の家を5時過ぎに発ち、安全な長野道を選択して名立・谷浜ICで一旦下り、すぐさま戻って諏訪SAまでノンストップで行く。北陸道は乾いていたが、長野道はブラックアイスが所々にある。朝陽を浴びた妙高・黒姫を右手にみて、信州中野まで追越されずに来る。更埴JCからは道は乾いており、融雪剤で道が真っ白。立峠トンネルを過ぎた辺りから徐々に後立山の峰々が姿を現す。真っ白な諏訪湖を見るのは初めてである!SAからは車山・蓼科山・縞枯山・茶臼山の頂が見渡せる。ここからピラタスロープウェーまでは1時間程であるが、ビーナスラインの日向は大丈夫だが、陰に入ると雪の轍があって凍っている。プール平を過ぎ、閉鎖された会社の保養所を過ぎると道が雪に覆われてくるが大したことはない。10:00 予定通り1771Mの山麓駅に着く。

 支度に手間取って10:40のゴンドラに乗る。殆どがスキーヤーにボーダーだが、4,5人のトレッカーも混じっていて、比較的空いている。2237Mの山頂駅までは10分もかからないが、ここからの展望には驚かされた。実に日本の屋根が一望できる。正面に中央アルプス、右手に北アルプス、左手に南アルプス・鳳凰三山。(帰りのゴンドラでは、槍の穂先は勿論のこと剣岳まで見渡せた)また、10年前の東京勤務で、北アルプスが見たいといって鈴木さんに連れて行ってもらった、入笠山が南と中央アルプスの間に位置していて懐かしい。
 10:50 カンジキを履いて山頂駅を出発する。乾燥雪で歩くたびにキュー、キューと鳴く。縞枯山荘までポールが立ててあって、スノーモービルの跡もついている。左手の坪庭経由でも行けるがショートコースを行く。五辻への分岐を過ぎて林の間を行くが、所々でカメラを構えて霧氷を撮っている人が目につく。20分程で山荘に着くが、その先は吹きさらしでトレースもすぐに消され@、ポールもなく先行者の位置を確認しながら進むが、コースを外すとゴボってしまう。10分程で雨池峠に着き標識Aを右折して縞枯の登り口に入ると、先行の夫婦が風を避けて休んでいる。話を伺うと、縞枯へは登らずに2時間かけてゲレンデを下りるという。夫婦の先を見ると幾筋かのトレースがある。大丈夫だろうと跡を辿るのだが、先を行くと林を前に行き止まり。しかもバックしている。雪が深いから諦めたのかなーと、勝手に解釈してウサギの足跡を頼りに躊躇なくシラビソの林の中に突っ込んで行ってしまった。小枝が体に引っ掛っても簡単に折れるし、雪も軽いから膝上ぐらい大したことはないと進むが、肩で息をしたあたりで間違ったかなと思ったが、左手前方に深く窪んだ道筋があり写真でみたような倒木がその先にあるものだから、勝手に夏道跡だと解釈して先に進むが30分経っても先が見えない(後で地図を確認すると境界線をラッセルしていた)。左は切れているようなので右手前方に向けてさらに15分進むと漸く青空と稜線の枯れ木が見えてくる。が、縞枯山頂は展望が利かない筈ではなかったか?!しかも稜線は強い風が吹いているようで、雪庇も気になり慎重になるものの、今度は腰まで潜る雪に難儀しながら稜線に出ると、なんと踏み固められたトレースが南北に延びているではないか!1時間の格闘で30分もロスしてしまった。が、気分は最高。ゴンドラと同じく日本の屋根が見渡せるBCD。

展望台への道を確認したものの、ここで充分と数枚の写真を撮ったのだが3枚しか撮れていなかった。帰りは正規の道を下りた。標識は足元下なのか見当たらない、林の間に設けられた道は深く抉られて深い、しかも下まで一直線に伸びている。こんな立派な道を外すとは恥ずかしい気持ちであったが、途中から慰めるように浅間山と黒斑が覗く。でも、今造ったルートの方が登り易いように思えるのだがと、自分に言いきかせているうちに、迷わされた分岐に出る。しかもピンクのリボンが唯一ある。気付かなかったな!予定では、展望台で昼食をとって、坪庭経由で北横をピストンする筈であったが、吹き上がる粉雪と冷たい風に追われて、結局は山頂駅の待合室のストーブ前で1時間も休憩を取って北横をパスした。食後、北横への分岐を確認に坪庭Eに上がったが、吹きさらしの広い坪庭には地吹雪で迷わないようにコースにはポールが設けてある。15:00 下りのゴンドラに乗り、予定より早く蓼科温泉へ向った。

冬山入門 北八ツ (縞枯・蓼科山)
縞枯に新たなルート出現?!